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2021年3月6日土曜日

熱サイクル

熱サイクル

熱源 T_1, T_2,... から 熱 Q_1, Q_2,... を受け取る熱サイクル C \begin{aligned} C &= (Q_1, Q_2, \cdots ) \\ \end{aligned} と表す。あるいは、 C = \left( \begin{array}{c} Q_1 \\ Q_2 \\ \vdots \end{array} \right) と表す。ただし、Q_i < 0 のときはT_iに熱を与えている、と考える。このとき、C が外にした仕事 W は与えられた熱の総和 Q_1 + Q_2 + \cdots = \sum{Q_i} となる。

0熱サイクル

熱源と熱のやり取りのない熱サイクルを () と表す。

1熱サイクル

熱源 T から 熱 Q を受け取る熱サイクル C を考える。 \begin{aligned} C &= (Q) \\ \end{aligned} このとき、ケルビンの原理より Q ≦ 0 が成り立つ。つまり、1つの熱源から正の熱を受け取るのみの熱サイクルは存在しない。

2熱サイクル

熱源 T_H から熱 Q_H を受け取り、熱源 T_LQ_L を与える熱サイクル C を考える。 \begin{aligned} C &= (Q_H, -Q_L) \\ \end{aligned} このとき、C が外にする仕事 W について W = Q_H - Q_L が成り立つ。また、熱効率η_Cη_C = W/Q_H と定めると、 \begin{aligned} η_C &= \frac{W}{Q_H} = \frac{Q_H - Q_L}{Q_H} = 1 - \frac{Q_L}{Q_H} \\ \end{aligned} が成り立つ。

相似熱サイクル

熱サイクル Cα > 0 だけ拡大した熱サイクルを α C と表す。このとき、熱は示量性があるため \begin{aligned} α C = α(Q_1, Q_2, \cdots ) = (αQ_1, αQ_2, \cdots ) \\ \end{aligned} が成り立つ。

熱サイクルの足し合わせ

熱サイクル C,C' の熱サイクルの足し合わせを C + C' と表す。このとき、熱と仕事は相加性があるため \begin{aligned} C + C' = \left(\begin{array}{c} Q_1 \\ Q_2 \\ \vdots \end{array} \right) + \left(\begin{array}{c} Q_1' \\ Q_2' \\ \vdots \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} Q_1 + Q_1' \\ Q_2 + Q_2' \\ \vdots \end{array} \right)  \end{aligned} が成り立つ。

逆サイクル

熱サイクル C の 逆熱サイクルを C^{-1} と表す。このとき、 \begin{aligned} C^{-1} = (Q_1, Q_2, \cdots )^{-1} = (-Q_1, -Q_2, \cdots ) \\ \end{aligned} が成り立つ。また、逆サイクルとの足し合わせは \begin{aligned} C + C^{-1} = \left(\begin{array}{c} Q_1 \\ Q_2 \\ \vdots \end{array} \right) + \left(\begin{array}{c} -Q_1 \\ -Q_2 \\ \vdots \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} Q_1 - Q_1 \\ Q_2 - Q_2 \\ \vdots \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} 0 \\ 0 \\ \vdots \end{array} \right) = () \end{aligned} より0熱サイクルになる。逆サイクルがある熱サイクルを可逆サイクルという。

カルノーの定理

T_H, T_L からなる任意の可逆熱サイクル C, C'を考える。α = Q_L/Q_L' として C + α C'^{-1}C^{-1} + α C'を考えると、 \begin{aligned} C + αC'^{-1} = \left(\begin{array}{c} Q_H \\ -Q_L \end{array} \right) + α \left(\begin{array}{c} Q_H' \\ -Q_L' \end{array} \right)^{-1} = \left(\begin{array}{c} Q_H - α Q_H' \\ -Q_L + α Q_L' \end{array} \right) \end{aligned} \begin{aligned} C^{-1} + αC' = \left(\begin{array}{c} Q_H \\ -Q_L \end{array} \right)^{-1} + α \left(\begin{array}{c} Q_H' \\ -Q_L' \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} -Q_H + α Q_H' \\ Q_L - α Q_L' \end{array} \right) \end{aligned} となる。このとき、αの定義より Q_L = α Q_L' なので、C + αC'^{-1}C^{-1} + αC' は熱源 T_L との熱のやり取りをしない。つまり、 \begin{aligned} C + αC'^{-1} = \left(\begin{array}{c} Q_H - α Q_H' \\ 0 \end{array} \right) \end{aligned} \begin{aligned} C^{-1} + αC' = \left(\begin{array}{c} -Q_H + α Q_H' \\ 0 \end{array} \right) \end{aligned} となる。ケルビンの原理より、 \begin{aligned} Q_H - α Q_H' ≦0 &⇔ Q_H ≦ α Q_H' \\ - Q_H + α Q_H' ≦ 0 &⇔ α Q_H' ≦ Q_H \end{aligned} つまり、 \begin{aligned} & & Q_H &= α Q_H' \\ & ⇔ & Q_H &= \frac{Q_L}{Q_L'} Q_H' \\ & ⇔ & \frac{Q_L}{Q_H} &= \frac{Q_L'}{Q_H'} \end{aligned} となる。つまり、熱源 T_H, T_L からなる任意の可逆2熱サイクルについて Q_L/Q_H は等しい。あるいは、任意の熱源 T_H, T_L について可逆2熱サイクルの Q_L/Q_H は 一意に定まる。 このとき、熱効率 η_C = 1 - Q_L/Q_H なので任意の熱源 T_H, T_L について可逆2熱サイクルの熱効率η(T_L, T_H)は一意に定まる。

絶対温度

熱源T_H, T_L からなる可逆熱サイクルを C、熱源T_L, T_0 からなる可逆熱サイクルをC'α = Q_L / Q_L' として C + α C' を考える。 \begin{aligned} C + αC' = \left(\begin{array}{c} Q_H \\ -Q_L \\ 0 \end{array} \right) + α \left(\begin{array}{c} 0 \\ Q_L' \\ -Q_0' \end{array} \right) = \left(\begin{array}{c} Q_H \\ 0 \\ - α Q_0' \end{array} \right) \end{aligned} C + α C' = C^{-1} + α C'^{-1} = 0 より C + α C' は可逆熱サイクルとなる。可逆熱サイクルC, α C', C + α C'について熱効率を考えると、 \begin{aligned} 1 - η(T_L, T_H) &= Q_L/Q_H \\ 1 - η(T_0, T_L) &= αQ_0'/Q_L \\ 1 - η(T_0, T_H) &= αQ_0'/Q_H \end{aligned} よって、 \begin{aligned} 1 - η(T_L, T_H) &= \frac{1 - η(T_0, T_H)}{1 - η(T_0, T_L)} \end{aligned} となる。また、熱源 T_0 を固定して、T_0 の温度をT^{*}_{0}とする。このとき、任意の熱源 T の温度θ(T) θ(T) = \frac{T^{*}_{0}}{1 - η(T_0, T)} と定める。よって、 \begin{aligned} 1 - η(T_L, T_H) &= \frac{1 - η(T_0, T_H)}{1 - η(T_0, T_L)} = \frac{θ (T_L)}{θ(T_H)} \end{aligned} 以降、熱源 T の温度 θ(T)T と表す。熱と温度の関係を考えると、たとえば、熱源 T_H, T_L からなる可逆熱サイクル C について、 \begin{aligned} \frac{Q_L}{Q_H} = \frac{T_L}{T_H} \end{aligned} が成り立つ。あるいは、 \begin{aligned} \frac{Q_H}{T_H} = \frac{Q_L}{T_L} \end{aligned} が成り立つ。

クラウジウスの不等式

熱源 T_1, T_2,... から 熱 Q_1, Q_2,... を受け取る熱サイクル C を考える。 \begin{aligned} C &= (0, Q_1, Q_2, \cdots ) \\ \end{aligned} 熱源T^*, T_iからなる可逆熱サイクルC'_iを考える。 \begin{aligned} C'_i &= (Q^*_i, 0, \cdots, 0, -Q'_i, 0, \cdots, 0) \\ \end{aligned} α_i = Q_i / Q'_i として α_i C'_i \begin{aligned} α_i C'_i &= (α_i Q^*_i, 0, \cdots, 0, -Q_i, 0, \cdots, 0) \\ \end{aligned} となり、α_i C'_i をすべて足し合わせると \begin{aligned} \sum{α_i C'_i} &= ( \sum{α_i Q^*_i}, -Q_1, -Q_2, \cdots ) \\ \end{aligned} また、C + \sum{α_i C'_i} を考えると、 \begin{aligned} C + \sum{α_i C'_i} &= (\sum{α_i Q^*_i}, 0, 0, \cdots ) \\ \end{aligned} よって、ケルビンの原理より、 \begin{aligned} \sum{α_i Q^*_i} ≦ 0 \\ \end{aligned} が成り立つ。一方ですべての可逆サイクル α_i C'_i について \begin{aligned} \frac{α_i Q^*_i}{T^*} = \frac{Q_i}{T_i} \end{aligned} が成り立つため、すべて足し合わせると、 \begin{aligned} \frac{\sum{α_i Q^*_i}}{T^*} = \sum{\frac{Q_i}{T_i}} \end{aligned} となり、\sum{α_i Q^*_i} ≦ 0 であるため、 \begin{aligned} \sum{\frac{Q_i}{T_i}} ≦ 0 \end{aligned} となる。C が逆サイクルを持つとすると - \sum{α_i Q^*_i} ≦ 0 も成り立つため、等号成立は C が可逆サイクルとなる。また、積分の記法で書くと、 \begin{aligned} \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} ≦ 0 \end{aligned} と表される。

エントロピー

任意の可逆過程 C, C' : X → Y について、C'^{-1} \circ C はサイクルとなり、C^{-1} \circ C' が逆サイクルとなる。このときクラウジウスの不等式より、\int_{C'^{-1} \circ C}{\rm{d'}Q/T} = 0 となり、 \begin{aligned} \int_{C'^{-1} \circ C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} &= \int_{C'^{-1}}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} + \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} \\ &= -\int_{C'}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} + \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} \\ \end{aligned} なので、 \begin{aligned} \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} = \int_{C'}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} \\ \end{aligned} つまり、任意の可逆過程 C : X → Y について \int_{C}{\rm{d'}Q/T}が一意に定まる。ここである状態 * を固定して、任意の状態 X について S(X)をある可逆過程C_X : * → Xによって、 \begin{aligned} S(X) = \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} \\ \end{aligned} と定める。任意の過程 C : X → Y について、 * \xrightarrow{C_X} X \xrightarrow{C} Y \xrightarrow{C^{-1}_Y} * はサイクルとなるため、 \begin{aligned} &⇔& \int_{C_X}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} + \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} + \int_{C^{-1}_{Y}}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} &≦ 0 \\ &⇔& \int_{C_X}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} + \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} - \int_{C_{Y}}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} &≦ 0 \\ &⇔& S(X) + \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} - S(Y) &≦ 0 \\ \end{aligned} より、 \begin{aligned} \int_{C}{\frac{\rm{d'}Q}{T}} &≦ S(Y) - S(X) \end{aligned} が成り立つ。過程 C が断熱過程のとき\rm{d'}Q = 0 より \begin{aligned} S(X) ≦ S(Y) \end{aligned} が成り立つ。

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